トレード戦略を立てるために、為替の動向を見極めることは非常に重要です。しかし「為替がどのような要因で変動しているのかわからない」と考えている方も多いのではないでしょうか。FX取引などにおいてもfx ボラティリティ、つまり為替レートの変動率をチェックすることは非常に重要と言われています。為替レートは原則として、通貨に対する需要と供給によって変動します。たとえば、ドルを買いたいという人が多ければドルの値段は上がります。こうした為替の変動には、さまざまな要因があります。レートが動く理由を具体的に挙げていってみましょう。
景気
景気が良いと、株価や金利の上昇が期待され、海外からの資金投資も増えます。その結果、通貨の価値も上がります。つまり、景気が良い国は、金利の上昇やその国の企業の株価の上昇が見込まれます。そして金利や株価が高い国の方が投資される傾向にあるため、その国の通貨を買う動きが出て、為替相場が変動するのです。景気を判断する指標として、特にアメリカの雇用統計などの経済指標はレートの変動に影響を与えます。
金利
一般に、お金は金利の低い国よりも高い国へ集中する傾向にあります。そのため、金利の高い国は、資金が集中し、その国の通貨に対する需要が増え、通貨は高くなります。
国際情勢
情勢の不安定な国の通貨は投資対象として不安定です。昨今のウクライナ情勢でもわかるように、戦争などが勃発した場合はその国に対する信用度が下がり、通貨の価値も下がる。そのため、そういった国からは資金が流出し、情勢の安定した国へ通貨が流れ込みます。これにより情勢の安定した国の通貨に対する需要が増え、通貨は高くなります。
要人発言
各国の首脳や中央銀行総裁などの要人の発言には、多くの投資家が注目しています。そのため、要人発言により期待感(または不安感)がふくらみ、それを受けた機関投資家などが大きな金額の取引を行うことで、為替相場が変動することが多いのです。
政府の市場介入
為替市場の急激な変動を抑えるために、時には政府が直接市場に働きかけて為替レートを安定させることがあります。各国の金融緩和や、利上げに関するニュースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。このように、各国で利上げが行われると、通貨の需要と供給のバランスが変化し、為替変動が起こりやすくなります。世界のなかでも影響力が大きく、世界中が注目しているのがFRB(米国)の利上げ状況です。利上げは金融政策の一つで、中央銀行が政策金利を引き上げることを意味します。政策金利とは、中央銀行が民間銀行へ貸しつけする際に設定される短期金利です。日本銀行のように、各国や同一の通貨地域には中央銀行が存在します。中央銀行は通貨の発行や、民間銀行の預金の受け入れ・貸し出し以外にも、物価の安定を図る役割を担っています。各国・地域の中央銀行は、経済状況や社会情勢に合わせて政策金利を上げ下げし、経済の安定を図っているのです。一般的に、金融政策として利上げが行われるのは、インフレの懸念が高く、景気が過熱しすぎているときです。好景気は一見問題ないように思えますが、加熱しすぎると物価や人件費が高騰し、私たちの生活も不安定になるでしょう。
中央銀行が利上げに踏み切ることで、市場金利は上昇し、民間銀行の金利が上がります。金利が上がると企業は設備投資を控え、個人も消費を避けるようになるため、物が売れにくくなり、物価の上昇も止まるという仕組みです。
この他にも投機的な要因など、為替相場は、ここに挙げたものだけでなく様々な要因が複雑に絡み合っています。1つの要因に偏った見方をするのではなく、全体を広く捉えることが大切なのです。
金曜日はとくに相場が動きやすい
また、取引をはじめたばかりの方が避けたほうがよいとされるのが、金曜日の取引です。
なぜなら、金曜日は多くの投資家がポジション調整(保有ポジションを決済すること)を行うため、値動きが激しくなる可能性があります。また、さまざまな指標の中でも毎月第1金曜日に発表される米国の雇用統計は注目度が高く、相場が大きく動く傾向があります。
投資には「売るべし、買うべし、休むべし」という格言があります。相場が荒れているときは一旦休むことも選択肢の一つです。無理に参加して損失を生むリスクを高めるよりも、機を待って取引をしたほうが勝率を上げる可能性があるということです。