個人事業主にとって頭が痛い作業の一つは帳簿付けですよね。
こういう時はどういう仕訳にすればいいんだろう?って悩みませんか?
よくあるケースが事業主であるあなたが個人のお金で経費を立替えた時の仕訳方法と、それを精算する時の処理方法です。
具体的な複式帳簿での仕訳の書き方と考え方を詳しくご紹介します!
個人事業主が経費を立替えるって?
あなたが会社員であれば、会社のお金と個人のお金の線引きは明確です。
でも個人事業主の場合は、事業主=あなた個人だから立替えるってどういうこと?って思う方もいるかもしれません。
一瞬、うん??って思ってしまうんですよね。
個人事業主といえども、事業にまつわるお金とそれ以外(生活費)のお金は明確に線を引く必要があります。
そして事業にまつわるお金が足りない場合は、生活費(=個人のお金)から出して立て替えるってことですね。
で、それをきちんと記録しておく必要があります。
じゃないと、事業のお金がないのにこれを買うお金はどこから出てきたの??ってなりますから(;^ω^)
個人事業主でもお金の立替が発生するってことが分かったところで、具体的な仕訳方法について見て行きましょう♪
個人事業主が立替をした時の仕訳の切り方
個人事業主には、法人の経理や会計には出てこない「事業主借」「事業主貸」という勘定科目があります。
この詳しい説明は別の記事で詳しく書くとして、ここではものすごく簡単に説明しますね。
ここでいう事業主というのは事業にまつわるお金のこと、個人というのは事業には関係ないプライベートな時の個人事業主(=あなた)だと思てください。
事業主借・・・事業主が個人のお金を借りた
例)
個人のお金で経費となる書籍を買った(立替えた)
利益が出ないので個人のお金5万円を、運転資金として事業用口座に移した
事業主貸・・・事業主が個人にお金を貸した
例)
事業用のお金から3万円を引き出して、個人の生活費としてプライベート用口座へ移した
事業のお金で、事業とは全く関係のない国民年金と健康保険料を支払った(年金や国保などのお金は経費になりません!)
事業主がお金を借りた場合は事業主借、お金を貸してあげた場合は事業主貸です。
わりと覚えやすいんじゃないでしょうか?
ちなみに、個人事業主の場合このお金の貸し借りは一方通行、お互いに返済の義務はありません( ゚Д゚)
法人ではあり得ませんよね。お金を借りっぱなし、貸しっぱなしでいいなんて(笑)
帳簿上は事業と個人で分けてますが、実態は同じ一人の人間のお金なのでそこはヨシとしているんですねー。
だからこそ事業主借と事業主貸という勘定科目を、きちんと使って行かないといけないんですが。
話が脱線しました。元に戻しましょう。
ここまでの説明で、個人のお金で経費計上できるものを買った場合(立替えた場合)は事業主借を使う、ということまでは見当がつくんではないでしょうか。
実際の仕訳はこのように行います。
10月10日に仕事の打ち合わせ先まで出かけた。その際の往復電車代1,020円を個人のお金で立て替えた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
10/10 | 旅費交通費 1,020 | 事業主借 1,020 | A氏との打合せのためJRで東京駅―横浜駅往復 |
これで、交通費の1,020円を個人のお金で立て替えた(事業主借)ということが分かります。
個人事業主が立替えた経費を精算する時の仕訳は?
個人のお金を立替えた時の仕訳の切り方はもう大丈夫ですよね。
では今度は精算する時のお話。
実は、先ほどさらーっと触れたんですが、お気づきでしょうか?
事業主貸、事業主借の説明のところで、「ちなみに、個人事業主の場合このお金の貸し借りは一方通行、お互いに返済の義務はありません」って書きました。
ということはですよ?
立替の仕訳を切った後で、精算処理をする必要はないんです(゚д゚)!
↑の仕訳で終了です。いちいち事業用のお金から個人用のお金へと返金する作業はしなくてもオッケー!
いやいや、ちょっとそれは気持ち悪いから精算したいんだけど・・・っていう人もきっといますよね。
その場合は、もちろん精算可能です。そして当然ですが、その場合は精算時に改めて仕訳を切りましょう。
精算する時は次のような仕訳となります。
10月10日に仕事の打ち合わせ先まで出かけた。その際の往復電車代1,020円を個人のお金で立て替えた。そして翌日の10月11日に立替えた分のお金を返金した。
まず立替えた時の仕訳はこうでしたね↓
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
10/10 | 旅費交通費 1,020 | 事業主借 1,020 | A氏との打合せのためJRで東京駅―横浜駅往復 |
次に精算する時。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
10/11 | 事業主借もしくは事業主貸 1,020 | 普通預金 1,020 | 10/10の交通費立替分を精算 |
ん?って思った方は注意深いです!
借方が事業主借もしくは事業主貸ってなってますよね。
実はこれ、どちらでもいいんです(笑)
というのも、事業主借と事業主貸は年度末に相殺されたうえで改めて元入金に繰り入れられるっていうルールがあるから。
でもこのルールは今は気にしないで下さい。
この場合の事業主借、事業主貸に大きな違いはない、どちらでもお好きな方をどうぞっていうことだけ覚えてください。
これ人によってどちらの処理を取るかが違います。
事業主借で処理する人
立替えた時の仕訳は事業主借で処理するので、事業主借を返す(返済する)という考え方で「事業主借/普通預金」を選択。
事業主貸で処理する人
事業主借が多くなると、税務署に目を付けられやすくなるので「事業主貸/普通預金」を選択。
税務署では事業主貸=事業で儲けたお金を生活費にまわす(給料みたいなもの)、事業主借=事業収入以外の所得を持っているとみなしています。
つまり事業主借が多くなればなるほど、この事業以外の所得が多いってことですよね。
で、じゃあその所得はどこから来てるんだ!?という疑問が発生します。
ここであなたの確定申告書に、不動産収入とか年金とか株とか何らかの所得申告が行われてれば問題ありませんが、何もなかったら?
現金収入を隠してるんじゃないか?脱税してるんじゃないか?なんて疑惑を持たれるかもしれませよね。
もちろん貯金を切り崩してることだってあるので、疑惑=即違法と決めつけられるわけではないです。
万一調査が入ったとしても、きちんと根拠を示すことが出来れば問題ありません。
でもそのリスクを少しでも避けるために、事業主借は多くしないっていう考えの人も一定数いるってことです。
最後にもう一度まとめておきますね。
まとめ
10月10日に仕事の打ち合わせ先まで出かけた。その際の往復電車代1,020円を個人のお金で立て替えた。そして翌日の10月11日に立替えた分のお金を返金した。
立替えた時は必ず仕訳をします。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
10/10 | 旅費交通費 1,020 | 事業主借 1,020 | A氏との打合せのためJRで東京駅―横浜駅往復 |
そして個人事業主の場合は、立替えたお金は返金する必要がありません。
返金しない場合は、これで終了です。これ以上の仕訳はいりません。
返金する場合は、次のどちらかの仕訳を切ってください。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
10/11 | 事業主借 1,020 | 普通預金 1,020 | 10/10の交通費立替分を精算 |
もしくは
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
10/11 | 事業主貸 1,020 | 普通預金 1,020 | 10/10の交通費立替分を精算 |
どちらか1つですよ!そしてこれは、立替えたお金を精算する時はいつも同じ仕訳で統一してくださいね^^
前回は返金しないで、今回は返金した・・・みたいな返金の有無を統一する必要はありません。
返金する場合の仕訳の切り方を統一しましょう!
個人事業主が経費を立替えた時の仕訳は?精算する時の処理方法は?-まとめ
複式簿記の帳簿付けって、解釈次第で複数のやり方が出てくる事がちょこちょことあるんですよね。
簿記の勉強をしっかりとしてきてない私のような人にとっては、それが余計にややこしく感じる一因なんですが(;^ω^)
でも個人事業主となったからには、分からないで済ませることはできないので頑張って覚えて行きましょう^^
仕訳の意味するところが分からなくても、こういうケースの時はこういう風に仕訳を切ればいいっていうことを覚えれば大丈夫ですよ♪