2017年の税制改正により、2018年1月から配偶者控除が大きく変わることになりました。
これによってパートで働いている方の働き方も、大きく変わってくる人が増えます。
気になるのは、パート収入がいくら稼げば損するのか、もしくは得をするのかですよね。
パート年収で扶養状況や世帯収入がどう変わっていくのか。
人によってケースバーケースの部分も大きいですが、具体的に税金がいくら増えて(減って)、自由に使える世帯収入がいくら増える(減る)のか、モデルケースを使って実際の税金額を実際に試算します!
2018年1月から何がどう変わっていくのか、新しいルールの仕組みや「年収〇〇円の壁」については、こちらの記事でポイントを押さえながらご紹介しています。
ぜひ読んでみてください!→ おススメ! 配偶者控除の改正のポイントをわかりやすく紹介 平成30年(2018)からどう変わる!?
パート収入の損得はどう考える?
ここから書いていく内容ですが、その都度説明していくのも大変なので、「夫がメインで働き、妻や子供を扶養している。妻はパート収入で家計を支えている」という前提で書いていきますね。
とはいえ、夫婦の役割が反対の場合も同じことがあてはまります!
では試算を公開する前に、「損得」について考えておきましょう。
よくある「扶養の範囲内で働く」というのは、所得税を最小限にしたり、健康保険や年金の負担を少なくするためっていう部分が大きいと思います。
逆にいうと、扶養から外れる=家計に支出が増えてしまうので損 という感じですよね。
ただし必ずしもそうとは言えないケースも多いです。
たとえば妻の年収が400万、500万とまではいかなくても200万だとしても、税金や社会保険料の負担が増えても世帯収入的にはプラスになります。
また世帯収入としてはプラスにならなくても、妻が被保険者として健康保険や厚生年金に加入することで得られるメリットもあります。
たとえば福利厚生のいい会社だったら、夫の扶養家族では受けられなかった手厚い健康診断が受けられるようになるかもしれません。
病気やケガで長期休業せざるを得ない時に、健康保険から傷病手当金が受けられます。
退職した時にも失業手当が貰えます。
それ以外にも会社によっては、様々な手当てや福利厚生のメリットがある場合があります。
夫の扶養家族でいたい理由によって選択肢は変わってきますが、家計のためだけだったら思い切って年収180万とか200万を目指してしまうというのも一つの手です。
扶養の範囲内で働き続けることが、必ずしも一番お得なわけではないということだけは覚えておきましょう。
もちろん、扶養に留まった方がいいねっていうケースもありますよ。
と、ここまで説明したところで実際に金額を出しながらパート収入が100万円だったら、120万だったら、160万だったら家計への影響がどうなるのかを見て行きましょう(^▽^)/
パートでいくら稼ぐと扶養や世帯収入はどうなる?試算表を公開!
ではここからは、具体的にパート収入のうちいくらが自由に使える手取りとなるのか、夫の所得税額はどう変わってくるのか、実際の金額とともに試算していきます!
まず前提条件はこちら。
妻・・・扶養の範囲内でパートで働いている
夫婦ともに給与収入(個人事業主などで所得を得ているわけではない)とします。
妻の勤務先は従業員500人以下のため、年収が106万を超えると社会保険に加入しないといけない106万円の壁は対象外とします。
夫は給与天引きされる社会保険料(健康保険と厚生年金)の支払が58万7千円。
それ以外には扶養控除・配偶者控除以外に所得税の計算に影響する所得控除や税額控除はありません(16歳未満の子どもに対する所得税の扶養控除はありません)
住民税は住んでいる地域によって多少の差があるので、今回はざっくりとした金額に留めますが、金額の変動は所得税と似ています。
サラリーマンの所得税額の計算方法を簡単に書くとこんな感じです。
2 仮の課税対象となる所得部分-諸々の所得控除(保険料控除や扶養・配偶者控除など)=最終的な課税対象となる所得部分
3 最終的な課税対象となる所得部分を基準として、仮の所得税額を計算
4 仮の所得税額-税額控除(住宅ローン減税など)=1年間の所得税額
今回のケースで、1の「仮の課税対象となる所得部分」は346万円です。
これは妻の年収がいくらでも変わりません。
そして住宅ローン減税などは今回のケースはないので4番の手順は省略できます。
3番で出てきた金額が最終的な所得税額ということですね。
ではここからは妻の年収が変わることで、の所得税や世帯の収入がどう変わるかを見て行きましょう!
繰り返しますが2018年1月から配偶者控除のルールが変わります。
ここでは2018年1月からのルールで計算していきますよー!
妻の年収が102万円の場合
妻の年収が102万円(103万円以下)の場合、妻は所得税を収める必要がありません。
そして夫は妻の配偶者控除38万円をフルに受けることが出来ます。
2 仮の課税対象となる所得部分-諸々の所得控除(保険料控除や扶養・配偶者控除など)=最終的な課税対象となる所得部分
これは346万-96万7千=239万3千円となります。
課税対象の所得額が239万3千円の時の所得税は、2,393,000×10%-97,500=141,800 ← 夫の所得税
妻の年収が102万円(103万円以下)の場合、世帯で払う所得税は141,800円です。
そして妻の年収はほぼ全額、自由に使えるお金として世帯収入に上乗せ可能です。
※ほぼ全額というのは、93万~100万を超えた時点で(いくらかは自治体によります)住民税が発生するため。
とはいえ、この段階の住民税は数千円レベルなので、そこまで気にする必要はないでしょう。
妻の年収が120万円の場合
妻は103万円を超えているため所得税の支払いが発生しますが、社会保険料は発生しません。
ただし150万円には届かないので、夫は配偶者控除38万円を引き続き受けられます。
夫の所得税は、妻の年収が103万円以下の時と変わらないため141,800円です。
妻は「サラリーマンの経費に当たる部分」が65万、保険料なども一切払っていないため所得控除はありません。
ということで、課税対象となる所得は55万でこの時の所得税は550,000×5%=27,500円
住民税を考慮しても4万円程度の支出なので、116万円程度が自由に使えるお金となります。
年収100万の時よりも支出は増えますが、自由に使えるお金はアップしています。
健康保険や年金も含めて扶養の範囲内で働きたい人は、健保の年収上限である130万までは働いた方が家計的にお得ということですね。
ただし106万円の壁だけは注意してください!
妻の年収が140万円の場合
では妻の年収が140万円になった場合はどうでしょうか?
この場合、妻は自分で健康保険と年金を支払わないといけません。
保険料は加入する健保組合によって大きく変わってきますが、一般的に健康保険組合→協会けんぽ→国民健康保険の順番に自己負担が増えていきます。
社会保険料の負担は14%程度になる事が多いため、仮に20万円が社会保険料の負担としてますね。
では妻の所得税は?
「サラリーマンの経費に当たる部分」は年収120万円の時同じ65万のため、仮の課税対象所得額は75万です。
ここから社会保険料の20万円を控除できるので、最終的に課税対象の所得額は55万。
年収120万の時と同じですね。ということは所得税は27,500円です。
そして夫は引き続き配偶者控除38万が受けられるので、141,800円に変わりありません。
この場合の妻の住民税も年収120万の時と変わらないと見込めるので、所得税と住民税4万円程度でしょう。
つまり妻の支出は24万円です。
年収140万の場合、自由に使えるお金は116万円程度となります。
あれ?年収120万の場合も116万円程度と同じでしたよね。
では年収がもっとアップするとどうなるんでしょうか?
妻の年収が160万円の場合
妻の年収が150万を超えたので、夫も配偶者控除を満額で受けることが出来なくなります。
160万の場合は31万円の配偶者特別控除となります。
この場合の夫の所得税額は158,800円なので、17,000円の負担増ですね。
これに住民税が1万円前後上乗せされます。
では妻は?
妻の社会保険料は、これも14%程度として224,000円としましょう。
となると課税対象の所得額は726,000円となり、所得税額は36,300円です。
住民税を考慮しても6万円程度と思われます。
ということで、妻の年収160万のうち支出は284,000円で1,316,000円が手取りです。
ここに夫の負担増分27,000円を引くと、1,289,000円が世帯での手取りですね。
つまりどういうこと?
この試算から見えてきたことは、こういうことです。
- あくまでも夫の扶養に留まりたい場合は、130万円の壁を意識しましょう。ただし、106万で社会保険が発生する規模の企業では働かないor働き方をしない前提です。
- 年収120万円と140万円では家計への収入上乗せ額はほぼ変わりません。妻が自分で社会保険に加入した方がいいメリットある場合は別ですがそうでないなら、120万に抑えておいた方が無駄がないとも言えます。
- 150万円を超えると妻の税金や社会保険の負担は増えますが、それ以上に家計への上乗せも期待できます。140万あたりをウロウロするのであれば、思い切って180万や200万を目指してしまうのも一つの手です。
- 夫の会社で家族手当などが出ている場合、社内での支給基準も確認しましょう!
パート収入の損得 いくら稼ぐと扶養や世帯の手取りはどうなる?2018年1月以降の試算表を公開!-さいごに
金額の面だけで妻の働き方を決めることは、なかなか出来ませんよね。
それでも金銭面での影響を知っておくことは、選択肢を増やす事にも繋がります。
今はまだ2017年ですが、あっという間に2018年の年末がやってきます。
年末が近づいてから慌てても、時すでに遅しなんてことになる可能性も(;^ω^)
今のうちからじっくりと考えていきましょう!(^▽^)/