「マネーロンダリング」って何?意味と防止のために必要なこととは?

皆さん「マネーロンダリング」を完璧に説明してくださいというと説明することは出来ますか。「聞いたことはあるけど具体的にどういうことかというと、、、」という方が大半ではないでしょうか。昨今、KYC(本人確認)などが徹底されていることからわかるように、「なりすまし」というのが横行しています。マネーロンダリングは決して遠い犯罪ではなく皆さんの身近に潜んでいます。そこで今回はマネーロンダリングについて事例を交えてわかりやすく解説していきます。

マネロンとは

よく映画や小説などで「マネロン」と耳にする機会もあるかと思います。マネロンとは「マネーロンダリング(money laundering:資金洗浄)」の略称です。では、マネーロンダリングとは実際どういったものなのでしょうか。見ていきましょう。

マネーロンダリング 意味

マネーロンダリングとは、犯罪によって手に入れた収益の出どころや持ち主をわからなくする行為のことを指します。実はマネーロンダリングは金融庁のサイトでも下記のように定義がなされています。

『マネー・ローンダリングとは、違法な起源を偽装する目的で犯罪収益を仮装・隠匿することであり、例えば、麻薬譲渡人が取得した譲渡代金をあたかも正当な商品を譲渡した代金であるかのように装うため売買契約書を作成する行為、あるいは借入金、預り金等を装ってその旨の書類を作成し、あたかも正当な取引により得た資金であるかのように偽装する行為がその典型とされています。』

参照: 『マネー・ロンダリング対策 金融庁』

マネーロンダリングをする目的としては、犯罪で手に入れた資金を合法な資金と混ぜることで判別しにくくすることです。仮に強盗事件があったとしても、お金にはマイナンバーのように後が追えるようになっています。それを合法のものと混ぜることで追いにくくするのです。たとえば、貯蓄性の高い保険商品に全納したり、株式などの有価証券や仮想通貨に換えたりするような行為があります。このような手口から、日本ではマネーロンダリングを「資金洗浄」とも呼ばれています。

マネーロンダリング 仕組み

マネーロンダリングの仕組みは大きく三つの段階に分かれます。第一段階は「プレイスメント」と呼ばれる段階で、犯罪収益を金融システムに組み込む段階です。第二段階は「レイヤーリング」と呼ばれ、犯罪収益の出所を不透明にするために資金源から分離します。そして最終段階が「インテグレイション」と呼ばれる犯罪収益を合法的な経済活動に投入していくパートです。これでマネーロンダリングが完成します。

マネーロンダリング 防止のために

マネーロンダリングへの対策として最も大きなもの「犯罪収益移転防止法」の改正が挙げられます。「犯罪収益移転防止法」は、マネーロンダリングを直接的に取り締まるのではなく、金融機関などの一定の民間事業者に、疑わしい取引の届け出を義務付けるための法律です。そのため政府が直接取り締まるものではなく民間事業者に一定の義務を課すことでマネーロンダリングを抑止していく取り組みとなります。これはメガバンク等の事業者では一定の評価が出ているものの、新規参入のスマホ決済事業者などへの浸透が不十分な面があるそうです。

マネーロンダリング 事例

では実際にマネーロンダリングにはどのような事例があるのでしょうか。ここでは三つご紹介します。

事例1:企業間の架空取引で得た金銭の隠匿行為

これは会社役員が、企業間の架空取引等によってだまし取った約束手形を現金化した後、収益の一部「現金約4,000万円」を、会社役員の親族が契約した銀行の貸金庫に保管したという事例です。

事例2:違法営業者から家賃名目で金銭を受け取った事例

こちらは会社役員が、違法な風俗営業を経営する男に建物を提供し、犯罪収益と知りながら家賃の名目で自己名義の口座に振り込ませた事例です。

事例3:特殊詐欺で得た財産を別口座に隠匿した事例

最後は会社役員らが、役場の職員になりすましてだまし取った他人名義のキャッシュカードを利用し、自分たちが管理する他人名義の口座に振替入金します。これによって得た収益を管理下に置いたことから、組織犯罪処罰法違反でも検挙された事例です。

最後に

今回は、「マネロンとは」というテーマで記事を書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。ご覧頂いた通り、マネーロンダリングは遠いマフィアや裏の組織のような大それた話ではなく、会社員や会社役員など非常に身近なところで起こっているのです。皆さん自身も当事者になる可能性を含んでいますので十分に注意しましょう。