2022年米アカデミー賞の結果を振り返ろう!

先月、3月27日(現地時間)に開催された米アカデミー賞 2022は、邦画「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞を受賞したことやウィル・スミスさんのビンタ事件などもあり、例年より話題となりました。本記事では、今年の米アカデミー賞の結果を改めて振り返ってみたいと思います。

米アカデミー賞とは

米アカデミー賞は、アメリカ映画の健全な発展を目的にキャストやスタッフを表彰して、その労と成果を讃えるための映画賞です。授賞式は、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われます。

アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデングローブ賞が終わった後、毎年2月末から3月初旬に開催されます。第94回の今年は、当初2月27日に予定されていましたが、新型コロナウイルス感染者増加のため3月27日に延期、開催となりました。

2022年米アカデミー賞の結果一覧

タイトル受賞作品/受賞者(出演作品)
作品賞コーダ あいのうた
監督賞ジェーン・カンピオン(パワー・オブ・ザ・ドッグ)
主演男優賞ウィル・スミス(ドリームプラン)
主演女優賞ジェシカ・チャスティン(タミー・フェイの瞳)
助演男優賞トロイ・コッツァー(コーダ あいのうた)
助演女優賞アリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー)
脚本賞ケネス・ブラナー(ベルファスト)
脚色賞シアン・ヘダー(コーダ あいのうた)
国際長編映画賞ドライブ・マイ・カー
長編アニメ賞ミラベルと魔法だらけの家
短編アニメ賞The Windshield Wiper
長編ドキュメンタリー賞サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)
短編ドキュメンタリー賞The Queen of Basketball
衣装デザイン賞クルエラ
歌曲賞007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
主題歌賞No Time To Die(007 ノー・タイム・トゥ・ダイ)
メイクアップ・ヘアスタイリング賞タミー・フェイの瞳
短編実写映画賞The Long Goodbye
視覚効果賞DUNE/デューン 砂の惑星
撮影賞DUNE/デューン 砂の惑星
作曲賞DUNE/デューン 砂の惑星
編集賞DUNE/デューン 砂の惑星
美術賞DUNE/デューン 砂の惑星
音響賞DUNE/デューン 砂の惑星

米アカデミー賞受賞のおすすめ作品3選

ここからは、今回の受賞作品の中から筆者がおすすめしたい3作品を取り上げます。

コーダ あいのうた

まずは、作品賞・助演男優賞・脚色賞を受賞した「コーダ あいのうた」。

漁師町で育った高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で1人だけ耳が聞こえる存在。家族の通訳となり、漁業も手伝いながら暮らしていました。ある日、学校のクラブで歌の才能を見出されたルビーは音楽大学への進学を勧められます。1度は反対した父親ですが、ある方法で娘の才能に気づき、夢を応援することを決めるのでした。

ルビーの家族を演じるのは、実際に聴覚に障がいのある俳優たちです。主演のエミリア・ジョーンズも講師のもとでASL(アメリカ手話)とろう文化の勉強に取り組みました。実際に聴覚障がいを持つ人の世界を無音で表現する演出は新しく、ぜひ映画館で見てほしい作品です。ルビーが手話と歌声の両方を使って曲を披露するシーンには、きっと涙すること間違いなし!ですよ。

ドライブ・マイ・カー

国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」は、これまでも第74回カンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞のほか、日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(西島秀俊さん)と、国内外の様々な賞を受賞しています。

西島さん演じる家福悠介は、舞台俳優兼演出家。脚本家の妻・音と暮らしていましたが、音は突然この世を去ってしまいます。2年後、広島の映画祭で演出を任された家福は、三浦透子さん演じる寡黙な専属ドライバーのみさきと出会い・・・。

原作は村上春樹さんの短編小説で、映画にはエピソードがいくつか付け加えられています。村上ファンにとってはうれしい仕掛けとなっていることもみどころの1つです。また、大切な人を失った過去を持ち、見て見ぬふりしてしまったことへの後悔を抱えて生きる2人が、ドライブと演劇を通じて悲しみから再生していくようすは必見です。

DUNE/デューン 砂の惑星

「DUNE/デューン 砂の惑星」は視覚効果賞・撮影賞・作曲賞・編集賞・美術賞・音響賞と今年最多の6部門を受賞しました。

舞台は、人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いている西暦1万190年。主人公のポールは、父に連れられて砂漠の惑星「アラキス」を管理するために移住しますが、帝国に仕組まれた罠により父親が殺害されてしまいます。原住民「フレメン」に身を隠すポールは帝国に対して革命を決意するというストーリーです。

本作は、1965年に刊行されたフランク・ハーバードのSF小説が原作の映像作品です。監督の意向によってCG演出を極力排除、実写主体で描かれる砂漠の戦闘シーンは臨場感たっぷりです!砂漠に生息するサンドワームと呼ばれるクリーチャーの描写には生物に見える動きを追求したほか、そこに重ねる音響も撮影と同時に作るなど、こだわり抜いた壮大な世界観をぜひ体感してください。