事業主借と事業主貸は生活費なの?個人事業主ならではの勘定科目の秘密

 

個人事業主として帳簿付けをしていると、事業主借や事業主貸って単語がよく出てきますよね。

法人では使われないこの言葉、よく生活費として認識している人もいます。

これ、間違ってはいないけど全てでもないっていうのが正確なところなんです。

魔法の勘定科目ともいわれる事業主借と事業主貸の意味や違い、使い分けをご紹介します。

 
  

事業主借と事業主貸は生活費ってよく聞くけれど?

いきなりですが衝撃の事実を書きます!(笑)

 
法人であれば、たとえ1人しかいない法人でもお給料や役員報酬がもらえますよね。

それで社長や社員は生計を立てています。

もちろんお給料や報酬としてもらったお金以外は、すべて会社のお金です。

たとえ全ての売上をあなたが一人で稼いできたとしても、私的なことに使ったらダメです。

下手したら横領になってしまいますよね。

でも個人事業主には「給与」という概念はありません!Σ(・ω・ノ)ノ!

まあそうは言っても、個人事業主であるあなたが自分で稼いだお金で私的なものを買ったり、今日の晩御飯のおかずを買ったりするのは税務署だって認めてます。

つまり事業のお金を私的なことに使ってもいいんです。

ていうか、お給料が貰えないんだったらそうしないと生きていけませんしね(;・∀・)

ただ「給与」とか「報酬」とかっていう名目で、自分自身にお金を渡すことは会計上できませんよってことなんです。

そこで登場するのが、事業主貸なんですねー。

事業主としてのあなたが、個人としてのあなたにお金を貸してあげるんです(ややこしいな・・・)

そして貸したお金は返してもらわなくても大丈夫です。だって同一人物なので。。

 
もう1つあるのは逆のケース。

法人の場合も、会社の備品を買ったりするのに取り合えず個人のお金で立て替えておくってことはありますよね。

その場合は後できちんと精算処理をして、お金を返します。

個人事業主の場合も、立替って普通にあります。

というよりも、法人よりも頻繁に発生しているかも。

家賃とか水道光熱費、携帯代なんかを家事按分(事業での使用状況に応じて何パーセントかを経費計上)している場合は、事業分も含めて全額を個人のお金で支払ってたりしませんか?

でも個人の場合って、事業主=あなた個人なわけで、イチイチお金を返金したりするのも面倒ですよね。

はい、立替えたお金は精算しないでそのままでもいいんです♪

事業主としてのあなたが、個人としてのあなたからお金を借りてそのままにしてしまっていいんです(゚Д゚;)

そんなときは事業主借を使います。

 

個人事業主にとっての事業主借と事業主貸とは

ここまでをちょっとまとめますね。

個人事業主では、事業主としてのあなたと個人としてのあなたの間でお金の貸し借りが発生した場合、「事業主貸」と「事業主借」という勘定科目で処理します。

個人事業主のあなたが、個人のあなたからお金を借りた場合は事業主借と言います。

事業主借の例)
経費として計上できる備品や家賃などを、個人のお財布から払った(一般的に立替と理解される諸々)

事業用の銀行口座に預金利息が入った(個人事業主の場合、預金利息は事業の収入とはなりません)

事業用のお金が足りなくなってしまい、個人のお金を事業用にまわした

 
個人事業主のあたなが、個人のあなたにお金を貸した場合を事業主貸と言います。

事業主貸の例)
事業に関係のない飲み会の会費を、事業用のお財布から払った

国民健康保険を事業用のお金から払った(国民年金や国保は経費ではありません!)

 
まとめの中のさらなるまとめ。

個人事業主の場合・・・

プライベートのお金で何かを立替えたら、それは立替ではなくて事業主借となる(事業主がお金を借りた)

事業としてのお金をプライベートで使うのは、全然オーケー(*^^)v 

その場合は事業主貸となる(事業主がお金を貸した)

 

勘定科目としての事業主借と事業主貸は相殺されて元入金へ

事業主貸と事業主借については、何となく分かっていたでしょうか?

ここからは少し難しい話をしますね。

事業主借と事業主貸の行く末についてです。

個人と事業主との間のお金の貸し借りは、借りっぱなし、貸しっぱなしでいいのが個人事業主の世界です。

これは上の方で説明しましたよね。

ただこのままでは、書面上はあまりよろしくないので、事業年度が変わる時ににリセットします。

簡単に言うと、事業主借と事業主貸を相殺したうえで元入金に組み込むという作業を行います。

 
はい、詳しく、でも簡単に説明します(^▽^)/

元入金っていうのは、事業に使えるお金がどれくらいあるかっていう、まあ元手みたいなもんだと思って下さい。

それまでに会社に注ぎ込んだ資本金、利益の積み重ねが元入金の内訳です。

要は、新年度の事業で使えるお金の金額ですね。

で、事業主借と事業主貸は精算がいらないお金なのでその分も元入金に反映させないと正確な金額が分からないですよね。

それにいつまでも延々と繰り越しているのもアレなので、年度が変わるタイミングでリセットしましょうっていうのもあります。

事業主借は個人から事業に入ってきてるお金なので、元入金に加算されるお金になります。

反対に事業主貸はプライベートで使ってしまったお金なので、元入金から減らさないといけません。

計算式にするとこういうこと。

期首時点の元入金+青色申告特別控除前所得+事業主借-事業主貸=翌年に繰り越す元入金

そく言われる「相殺して元入金に組み入れる」っていう場合は、

相殺した結果事業主借が多ければ差額分だけ元入金が増え、事業主貸が多ければ差額分だけ元入金が減る

という考え方です。上の計算式と同じですね^^

 

事業主借と事業主貸は生活費なの?個人事業主ならではの勘定科目の秘密-まとめ

事業主借と事業主貸って慣れるまでは、なんか扱いにくい勘定科目だと思います(;・∀・)

でもごちゃごちゃになりやすい事業用と個人用のお金を明確にするためには絶対に必要ですし、一度覚えてしまえばこんなに使い勝手のいい勘定科目もありませんよ(笑)